ハイウェイで泳ぐSwimming on the Highway
  • 呉耀東(ウー・ヤオドン)
  • 台湾
  • 1998
  • 中国語
  • 日本語字幕
  • カラー
  • 49分
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30歳の男、自己破滅的で不安を抱えている。26歳の友人、カメラを持っている。ゲイでHIV感染者の友人の内面世界を撮っているはずが、カメラに映るのはふたりの濃厚な心理戦。本音と演技の境界を曖昧に、被写体であることと戯れる男は、監督を嘲笑し挑発する。撮る人と撮られる人の真剣勝負が、感情もろともに露わとなる。

  • 1999 山形国際ドキュメンタリー映画祭 小川紳介賞

【監督のことば】
1997年の国慶節、西門町での花火の下で。僕は国塘と僕の間にある「愛と憎しみ」について、ドキュメンタリーを撮り始めた。その日、人ごみの中、国塘のもの寂しい姿、無感情に歩道に座る姿、そして暗い通りで煙草を吸い台湾ビールを飲み、吐いている姿を見た。カメラを構え、「これはいける。いい映画になるぞ」と僕は思った。バスは高速道路を駆けぬ け、夜は明けようとしていた。夜明けの青白い光りの中、昨夜のパーティーで疲れきった彼の顔が窓にはっきりと映る。病のため顔はやつれているが、その目はまだ鋭かった。「まるで全人生を路上で過ごしたみたいだ。」その放浪人生を誇るかのように彼は言った。 1998年6月、リージェントホテル隣りの14号公園で僕は撮影を終えたいと思っていた。彼はカメラの前に座り、リラックスし、落ち着いていた。僕は叫んだ。「何で君はそんな風なんだ。こわくないのか?」彼は言った。「演技してるんだよ。以前の僕を演じてるんだ。」「できるだけ早く終わらせよう。」僕は憂鬱に思った。 撮影はまるまる1年かかった。僕たち二人の間に常にあったのは戦いだった。撮る者と撮られる者の戦い、カメラを巡る戦い、友人間の誠実と信頼の戦い。しかし彼にとってはきっと生と死の戦いだったのだろう。無論僕には人生があまりにも厳しく絶望的で、不安に満ち、冷淡だということはわかっていない。ドキュメンタリーの本質や干渉といった問題はない。アカデミックな理論や実践の問題でもない。今の所それは、ただ彼と僕、二人の間に横たわる問題、ただそれだけのことだ。

呉耀東(ウー・ヤオドン)

1972年台北生まれ。1996年からドキュメンタリーを作り始める。監督作に『四點零六』(1996)、台北電影奨の台北特別奨を受賞した『瑞明楽隊』(1997)、YIDFF 1999小川紳介賞受賞作『ハイウェイで泳ぐ』(1998) など国内外映画祭にて高く評価される。2018年、『Goodnight & Goodbye』が台湾国際ドキュメンタリー映画祭 (TIDF)に入選された。新作『I’m Here』(2020)がある。

配信期間:12月17日(金)12:00(正午)~12月24日(金)23:59 (GMT+9)
オンライントーク
  • 12月19日(日)15:00~16:30 ​(GMT+​9)
  • 出演者:呉耀東(ウー・ヤオドン)(《ハイウェイで泳ぐ》、《Goodnight & Goodbye》監督 )
    平野勝之 (《監督失格》監督 )
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